フリードリッヒ・ヴィルヘルム・ライフアイゼン
(FRIEDRICH WILHELM RAIFFEISEN)
― ハム市(ジーク)生誕 (Hamm an der Sieg) ―
1818年3月30日、フリードリッヒ・ヴィルヘルム・ライフアイゼンは、ジーク川沿いにあるハム市で9人兄弟の7番目として生まれました。名声を博した一家で、母方の家系は代々、市長を務めてきました。
父ゴットフリート・ライフアイゼンは、7番目の子、フリードリッヒ・ヴィルヘルムが生まれた時、13地域からなるハム市に新設された行政の市長を務めていました。しかしながら、早くも2年後には、彼は、その地位を手放さなくてはなりませんでした。ある情報源によると、重病が原因だったといわれていますが、別の説によるとアルコールと横領、または、鬱が原因だったともいわれています。妻アマーリエは非常に敬虔な女性で、運命を神にゆだね、9人の子供たちの養育をたった一人で担っていたようです。
確かなことは、フリードリッヒ・ヴィルヘルム・ライフアイゼンが良家の出身でありながら、幼いころから身をもって貧困を経験しなくてはならなかったことです。彼のゴッドファーザー(洗礼の時の代父・後見人)で、地区の教会牧師であったゲオルグ・ヴィルヘルム・ザイッペルのおかげで、フリードリッヒ・ヴィルヘルムは初等教育のみならず、多くの学識を得ることができ、また、慈善活動にも触れることになりました(ザイッペル牧師自身、救助機関を設立)。後に、彼は軍隊に入ったものの、眼病を患い、やむなく退役することになりますが、その時、母方の伯父で評議員であったランツェンデルファーの働きかけで、ライフアイゼンは社会改革者としての使命の第一歩となる、ヴァイエルブッシュ市の市長職に就くことになります。
生誕地ハム(ジーク)の見どころ
フリードリッヒ・ヴィルヘルム・ライフアイゼンの実家は、現在、アルテ・フォークタイ ホテルになっています。伯父ゲオルグ・フリードリヒ・ランツェンデルファーの家は、今日のドイツ・ライフアイゼン博物館 です。ライフアイゼンが、この二軒の、伝統的な古いヴェスターヴァルト木組建築のどちらの家で生まれたのか、意見が分かれています。当時、一般的であったように、両親の家で生まれたと考えるのが一番自然なのですが、言い伝えでは、母アマーリエは、医学に通じていた外科医である兄の家に行って出産したともいわれています。
どちらの説が真実にしても、この両方の家を見学することができます。2018年、歴史的な環境とデジタル・メディアを見事に組み合わせることにより、ドイツ・ライフアイゼン博物館は、現代的な構想の実現化に成功しました。バーチャル・ツアーで御覧になりたい方は、ここをクリックしてください。特にお勧めなのは“トーキングヘッド・ライフアイゼン (Talking Head Raiffeisen)”です。このインストレーションでは、ライフアイゼン自身が皆さまに語りかけます。
増築された建物では、協同組合創設者であるライフアイゼンの生涯とその働きを短い映画で紹介しています。また、記念品もお買い求めいただけます。
隣接する建物には、ドイツ最大ともいわれる、ハムのドールハウス(人形の家)博物館 (Puppenstubenmuseum)があり、様々な時代の、100軒ほどのドールハウスが展示されています。
そこからほど遠くない所に、2019年、ビール酒造協同組合F. W. ライフアイゼン・ハム(ジーク)が設立されました。それ以来、歴史的な木組の家“ツム・ライフアイゼン”では、お食事やいろいろなお飲み物の他に、“ライフアイゼン・ビール (Raiffeisen dunkel)”をご堪能いただけます。お持ち帰り用の5リットル樽や、ライフアイゼンをモチーフにしたビールジョッキやグラスもご購入できます。
ライフアイゼンの働きにおいて、最後まで貫かれたキリスト教的基本姿勢は、彼の母と伯父の模範にあったといえます。ライフアイゼンの跡をたどる上で、福音主義教会 (Evangelische Kirche)を見逃すことはできないでしょう。彼が幼い頃、洗礼を受けた時の洗礼盆は、今も存在しています。お立ち寄りの際には、ひょっとしたら、ライフアイゼン研究で博士号を取得したミヒャエル・クライン牧師が教会を案内してくれるかもしれません。
しばらく歩くと、小さな広場にライフアイゼンの柱 があります。高さ3メートルの銅柱にはフリードリッヒ・ヴィルヘルム・ライフアイゼンの生涯が記されています。
お勧めのハイキングコースは、ライフアイゼンの日曜日の散歩 です。これらの軌跡をたどりながら、ハム(ジーク)を取り囲む、とても美しい風景を体験することができます。ライフアイゼンは日曜日の昼食の後、この7キロメートルの道を散歩するのを常としていたといわれています。
“ライフアイゼンの日曜日の散歩”の情報、この地方での長期滞在や博物館でのガイドツアーに関する詳しい情報は、ハム(ジーク)の観光案内所(電話+49 2682 969789、 またはメール tourismus@hamm-sieg.de)まで、お問い合わせください。